歯周病原細菌や歯周病の炎症巣で産生された炎症性サイトカインや起炎性物質および代謝産物が長期間にわたり循環器を介して全身に運ばれることから、さまざまな臓器に影響を与えることが報告されています。心血管系障害、2型糖尿病、早期低体重児出産、誤嚥性肺炎、ウィルス疾患、認知症やがんといった多様な疾患と歯周病の関わりが指摘されています。
近年、歯周病と関節リュウマチ(RA:ryeumatoid arthritis)との双方向的な関連が示唆されました。RAの原因としては遺伝的要因と喫煙、細菌、ウィルスなどの環境因子の両者が関与し、自己免疫反応が誘発されると報告されています。近年、RAの診断では抗CCP抗体(シトルリン化タンパク質に対する自己抗体)が重要な指標となっていますが、歯周病原細菌がタンパク質のシトルリン化に関与することが示され、環境因子の一つとして歯周病との関連が示唆されようになりました。
このように、歯周病と全身疾患との関連が報告され、歯周病の予防、治療が健康長寿にとっても重要であると考えられるようになりました。(日本歯科医師会雑誌、vol74,No8,2021-11より抜粋)